距離目測によるピント合わせ

 

被写体までの距離の目測ってすごく難しく感じるかもしれませんが、ちょっと練習すると ぱっと見ただけで結構正確な距離がわかるようになるもんです。そうは言っても慣れるまではなかなか自信が持てないものです。そんな時は自分の身体を目安に使うと便利です。例えば、腕をまっすぐ伸ばすと60cm、両手を広げて1.7m、普通の歩幅が75cmだったら2歩で1.5m、4歩で3m、靴のサイズが25cmだったら4歩で1mなどなど。あと、自分の目の高さを知っていれば足元を見てから視線を上げると同じ長さ(高さ)の目安が付け易いですよ。そしてそれを2倍3倍すれば簡単に5mくらいまで目測することができます。

ところでピントの合う範囲にはある一定の幅(被写界深度)があるので下記のように絞りおよび距離の条件によってはあまり厳密にピント合わせをする必要はありません。というのはフィルム上で1/30mm以下のボケは人間の目にはボケていると認識できないとされているからです。

スメナ8Mやスメナ35に搭載されているT-43, 40mm レンズの場合は、各絞りと距離をセットすると下記の被写界深度表に示す範囲(単位 m)にピントが合うことになります。

絞り \ 距離 (m)

1

2

3

5

10

4

0.93-1.08

1.74-2.35

2.45-3.87

3.64-8.00

5.71-∞

13.33-∞

5.6

0.91-1.12

1.65-2.53

2.28-4.38

3.28-10.53

4.88-∞

9.52-∞

8

0.87-1.18

1.54-2.86

2.07-5.46

2.86-∞

4.00-∞

6.67-∞

11

0.83-1.26

1.42-3.40

1.85-7.87

2.46-∞

3.27-∞

4.85-∞

16

0.77-1.43

1.25-5.00

1.58-∞

2.00-∞

2.50-∞

3.33-∞
この表から以下のことがわかります。

高感度フイルムを使って絞り値を大きくすることができればピントが合う範囲が広くなります。あと、レンズの焦点距離が短い方が、同じ絞り・距離の条件では、ピントの合う範囲は広くなります。ただし、被写界深度に入っているのと正確にピントが合っているのでは、やはり描写に差があるということですので、被写界深度に頼り過ぎることなくできるだけきちんとピントを合わせることを心掛けた方がよいのかもしれません。また、ピントが合っていることとよい写真は別だと思います。ピント合わせに汲々として決定的瞬間を逃さないようにしましょう。

ちなみにピントという言葉はオランダ語の"brandpunt"の後半部分が訛ったもので、日本でしか通じません。つまり日本語です。英語では"focus"と言います。ピンぼけは"out of focus"。僕の尊敬する写真家ロバート・キャパの「ちょっとピンぼけ」の原題は"Slightly out of focus"。名著です。ご一読あれ。

 

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